ゼロをめざすには8

引き続き、殺処分そのものについてのお話です。

 

前回、「殺処分数はゼロにはならない」という私の考えをお話をさせていただきました。

 

犬の話が主でしたが、猫のケースを考えた場合でも・・・

 

「猫を飼っていない、自分の家の敷地内で発見した子猫の兄弟。

生まれたばかりで目も開いてない。

野良の親が放置してしまったのか、誰かが捨てたのか。

しばらく待ってみたが、親は姿を見せない。

自分は世話をしてやることができず、引き取れない。

自分ができないことをほかの人にお願いすることは考えられない、

お願いできる先の心当たりもない。・・・・・・」

 

この人がセンターに持ち込むことを誰も責めることはできないでしょうし、

責めるべきではないと思います。

 

縁もゆかりもない猫が生んだ子猫を持ち込んだ人に、

「離乳まで面倒を見て、そのあと飼い主を捜してください」

とは、センターの職員さんも言えないでしょう。

 

前回触れなかったですが、

猫でも、やはり、やむをえないことがあります。

 

では現状を変える必要はないのでしょうか?

 

今回は、殺処分の方法について考えてみたいと思います。

 


 

現在、殺処分頭数は大幅に減りました。

そろそろ高知県でも、一頭一頭、

注射による安楽死での処置が可能かもしれません。

 

やむ終えず殺処分されざるをえなくなったわんちゃんねこちゃんが、

せめて、極力苦しまずに息を引き取れるように、

高知のセンターにおけるその方法を、変えられないものでしょうか・・・。

 

現在の殺処分に用いられる設備は、大変高額であり、

使わなくてもメンテナンスでこれまた高額な費用がかかると聞きます。

当然税金からの支出です。

 

昔はその設備を利用することはやむをえなかったかもしれませんが、

現在、それ以外の、苦しみの少ない方法をとることが状況として可能になり、

変更することによって税金からの支出が減るということあれば、

方法を変えることを検討しても良いのではないか、

そう思うのですが。

 

皆さんはどう思いますか?

 

殺処分なんて、ないに越したことはない。

でも、今の日本の現状では、センターに預けざるをえなくなることがある。

ならばせめて、

苦しみが少なくて済む、個別の注射による安楽死を

と、私は考えます。

 

同じように思う人は多いのではないでしょうか?

 

 

 

数年前になりますが、

奈良県の動物愛護センターでお話を聞く機会がありました。

 

「(ガスによる処分)設備はありますが、数年間使っておりません。

やむをえないときは一頭ずつ注射による安楽死です。」

と説明を受けた時、現状で実現可能な着地点はここだと思いました。

そしてそれをすでに実現していることに、感動しました。

 

 

 

現在の高知県の管理センターは外部委託で、獣医師が常駐していません。

もしやり方を変えようとすると、

安楽死業務に携わる獣医師の存在が不可欠となる。

安楽死に使用される薬剤は獣医師でないと管理できない。

そういったこともあり、すぐに変えられるわけではないのですが。

 

まずは、みなさんに、知っていてもらいたい、

どうしたらいいか、どう思うか、一緒に考えてもらいたい。

今回はそんな思いで、書きました。

 


 

本当の安楽死になったら、

苦しみが少なくなるから、

処分してもらうために持ち込んでもいい。

当然そんな話ではありません。そんな話にはなりません。

 

それでも

『もしかしたら、今の社会のままなら、

「気軽に」持ち込もうとする人が増える』

そのような恐れを、思い浮かべてしまいました。

 

蛇口を閉めることが大前提です。

(参照:ゼロをめざすには4 )

頭数を限りなくゼロに近づけてこそ、実現可能な話なのです。

 

そして、ゼロになれば、

考える必要のない問題なのです。