ゼロをめざすには7

今回は、管理センターに連れて行く飼い主さんの事情ということを考えてみたいと思います。

 

身勝手な理由で持ち込む飼い主さんには、考え直してもらったり、

里親を探したり、なんらかの努力をしてもらいたいと思うものですが・・・。

 

 


 

センターに連れてくる理由が「病気」と聞くと、

治療受けさせてあげればいいのにと、飼い主を責めるような気持ちになるものですが。

 

持ち込む飼い主さんの中には、やむにやまれぬ事情で連れてくる人もいるようです。

 

犬が病気になり長期の治療を受けてきた、治る見込みはない、犬が苦しそう・・・。

犬の苦しそうな姿をこれ以上みるのがつらい、お金の負担が大きすぎるなどの理由で、

もう楽にしてあげようと主治医の獣医師に安楽死の相談をする。

 

私がかつて勤めていたいずれの動物病院でも、そのような時には、

飼い主さんが悩み、苦しんだ末、口にするに至ったものと受け止め、

飼い主の意思を尊重し、わかりましたとお受けする方針でしたが・・・。

 

自分はこの仕事を動物を生かすためにやっているのであって、殺すためではない、

安楽死を引き受けることはできない、と拒否する。

 

そのような対応をする獣医師さんもおられると聞きます。

 

そうなると、飼い主さんは途方に暮れてしまいます。

 

かかりつけでない病院に行ったところで、

初診で安楽死を依頼されて引き受ける獣医師はなかなかいないと思われます。

 

ついに行き場がなくなって、やむなくセンターに処分を申し込む

・・・そういうケースも、あるそうです。

 

 


 

家族を日常的に攻撃的に咬む。

他人や他犬を大けがするほど咬んでしまった。

 

飼い主さんが恐怖しながら飼い続けることは生活に支障が出るほど難しいことで、

ケースによりますが、それほどの状態になるとリハビリも難しいです。

(時間がかかる、プロの助けが必要になり費用がかかる、治るかわからない)

 

あるいは、飼い主さんは咬まれてもなんとかして飼い続けようと思っていても、

他人・他犬に被害を与えてしまい、

被害にあわせてしまった方が処分を望まれたために、

またはこれ以上他人に迷惑をかけることのないようにと自ら決断し、

やむなく処分しなければならなくなったというケースもあると思います。

 

(なぜそのような状態になったのか?という話は、ここでは、置いておくことにします。

起こってしまったことについて飼い方のせいではないかと飼い主さんを責めても

堂々巡りになります。

飼い主さんが原因でないケースもありえます(病気など)。)

 

一般の動物病院で、病気ではない、このようなケースの犬を安楽死させるというのは難しいでしょう。

自然、管理センターのような、殺処分施設に持ち込まれることになります。

 

 


これらのような、持ち込むことがやむを得ないと思われるケースを考えた時、

私は、

現状の日本では、殺処分施設は必要であり、

殺処分はゼロにはならないと考えています。